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お知らせ

2017/08/25

【柔道整復 コラム】長期理由

【長期理由の規定】
打撲・捻挫(挫傷)の施術が初検の日から3月を越えて継続する場合は、
①負傷部位 ②症状 ③施術の継続が必要な理由 を明らかにすること

このルールは、「打撲・捻挫(挫傷)等、急性外傷においては柔道整復師が施術を行うことにより3カ月程度で治癒に至るのが一般的であり、それを超えて施術が必要な場合には何らかの理由があって然るべき」という観点から設けられたと考えられます。
よって、「長期理由が必要になる最初の来院時(翌月以降は、その月の最初の来院時)に、どういう症状が残っていたので、施術が必要だった」ということを保険者へ表明することが長期施術継続理由です。

では、レセプトを作成するうえで主に注意して頂きたい点を説明致します。

①長期該当日の症状を明記する。

(例)[長期理由]①初検時、屈曲時痛、伸展時痛が非常に強く施術が長期となったが、症状が徐々に軽減し治癒に至った。
 ⇒当会の審査で指摘が入る長期理由です。

何が問題なのか?それは長期理由で保険者へ伝えなければならない長期該当日の時点でどのような症状が残存しているかが明記されていないからです。
ここから読み取れるのは、初検時の症状や経過及び治癒に至ったということのみなのです。

当会推奨の長期理由の記載はこちらです。
特に長期該当日がいつになるのかはきちんと把握するようにしてください。

長期理由記載のルール(クリックで拡大)

・長期該当日の症状を記載する。従って長期理由は現在形で終わる
・長期該当日は初検日から3カ月を超えて最初に施術した日(記載例では7/8)
・4カ月目からの長期該当日は、その月の最初に施術を行った日になる
・【長期施術継続理由】とタイトルをつける。(規定上の様式に準ずるため)
・部位ごとに記載する
・症状は動作等も含めて詳細に記載する

②原因・実日数・転帰との整合性

(例)
原因:寝違え
実日数:20日
転帰:継続
[長期理由]①頸部に屈曲時痛が僅かに残存している為、継続加療を要す。
⇒こちらも当会の審査で指摘が入ります

はじめに申しますが上記の様なレセプトはあり得ないという話ではありません。
保険者はあくまで書面に記載されている情報で支給の可否を決定します。

・寝違えで3カ月を超える施術が必要か
・僅かな症状でなぜ20日の実日数が必要となったのか
・来月以降も継続した施術が必要なのか

この例であれば文面だけみたときに、読み手側にこのような疑義が生じてもおかしくはないですよね?
その為、このようなレセプトにはなぜこのような請求内容になったのか、予め摘要を記載する事をお勧めします。

③毎月同じ内容が続く場合

通常、急性・亜急性の外傷に対しての施術であれば、施術を重ねていくごとにだんだんと症状が軽減していくものだと考えられます。
それが、同じ症状が何ヶ月も続くようであれば、どうでしょうか?
保険者は症状が慢性化しているのではないか、また場合によっては効果がみられないようであれば医療機関を受診するよう指示するべきではないのかという印象をうけても不思議ではありません。
※実際に、このような疑義が生じて返戻を受けるケースもございます。

勿論、日常生活動作において患部を安静に保つ事が出来ず経過が緩慢である、または施術期間中に再負傷をして症状が悪化するなどした場合は同じような症状が続く事もあるでしょう。

お金を請求するのであれば、先方に対して請求根拠をしっかり説明する責任があるというお話です。
この場合も摘要欄を活用し、同じ内容が続く理由を予め記載するのが良いでしょう。

④各々の部位に対しての症状を記載する

(例)①左膝関節捻挫 ②右肘関節捻挫 ③右背部挫傷(上部)
[長期理由]①②③屈曲時痛と圧痛が残存する為、長期加療を要す。
⇒こちらも当会の審査で指摘が入ります。

①②③の負傷がすべて同じ症状が残存すると記載されています。

3部位同時負傷であっても各部位の症状の強さは異なるはずですし、部位によって日常生活上の使用頻度が異なることから経過も異なってくるのが一般的といえます。
各部位が同じ症状ということはレアケースですし、部位の症状が変わった時に記載を切り分けて記載しななければならなくもなるので事務がかえって煩雑にもなります。

たとえ症状が同じであっても下記の様に長期理由は部位ごとにそれぞれ記載しましょう。
①~が残存し長期加療を要す。
②~が残存し長期加療を要す。
③~が残存し長期加療を要す。

⑤外傷の症状か

柔道整復療養費の支給対象は「急性又は亜急性の外傷」です。
従って、長期理由に外傷の症状と見受けられないものがあった場合は疑義が生じる可能性があります。

(症状と疑義の例)

「痺れ」「放散痛」「神経痛」:慢性傷病の症状とも考えられる

「違和感」:患者の感覚であり症状ではない

「夜間痛」:症状が夜間痛のみの場合、来院時(日中)に症状をどのように検査したのか

まとめ

ここまでの説明でご理解頂けたと思いますが、長期理由を記載する際には上記の通り、原因・実日数・施術を開始してからの期間、翌月を見越した記載をする等々、色々な角度から考える必要があります。当然、ここで挙げている以外にも様々な留意点がございます。

長期理由に限った話ではありませんが、そもそも支給基準にも明確に「この内容ではいけない」などと明記されていない項目が複数あります。
このような項目は保険者の解釈に委ねる部分がかなり大きいので、自身の請求を客観視するのに限界がある個人請求の方などにとってはかなり難しい項目であるといえます。

この点において請求内容を他人の目で確認することはとても有効な対策です。
当会では毎月数千枚の審査を行っているスタッフがレセプト1枚1枚をしっかりと審査し、毎月先生方に留意点等をお伝えしております。

※当会会員でない方も審査体験で現在の請求内容を確認することも可能です!ぜひご活用ください!

また「長期理由の記載があると保険者に目をつけられる」という噂があるようですが、これは嘘です。

この噂を信じて長期理由の記載が必要となる前(3カ月以内)に転帰をつけなければならないと考えている方もいらっしゃるようですが、
保険者は今後、傾向審査を積極的に行う方針ですので来院患者全てが3カ月以内に治癒している請求があった場合は当然疑義が生じることになります。

「長期理由はこう書けばOK」といったものはありません。
レセプトの内容が説明責任を果たせる内容か否かが重要なポイントとなります。


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