【コラム・柔整】骨折・不全骨折・脱臼の同意について
会にもお問い合わせが多い骨折・不全骨折・脱臼の健康保険上の取り扱いについて、以下のように規定では定められています。
『脱臼又は骨折(不全骨折を含む。)に対する施術については、医師の同意を得たものでなければならないこと。また、応急手当をする場合はこの限りではないが、応急手当後の施術は医師の同意が必要であること。』
この場合の「応急手当」は、基本的に初回の来院においての施術を指し、「整復料」または「固定料」が算定できます。後療を行う場合は医師の同意が必要になります。
レセプトには、「摘要」欄に「同意年月日・医療機関名(総合病院の場合は診療科名も)・同意医師名(より同意あり)」が入るようにしてください。算定する全ての月のレセプトに記載が必要です。
ここで、過去に会でご質問を受けた内容と、それに対する回答をご紹介します。
Q.同意とはどういった形式でもらうものか
A.同意は、患者が受ける・施術者が受けるどちらでも構いません。「医師が患者を診察した上で、書面又は口頭により与えられること」とされています。
Q.負傷名はどうつければよいか
A.例えばColles骨折の場合、柔道整復の傷病名は「前腕部骨折(下部)」となりますが、医師の診断名は「Colles骨折又は橈骨遠位端骨折」となります。柔道整復の負傷名は部位単位、医師の傷病名は骨単位となる場合が多いので、傷病名が相違しているようですが、厚労省が定める名称(協定傷病)を使用しても医師の診断名を使用してもかまいません。
しかしながら、協定外傷病名(協定傷病以外の名称)は近接の規定が明確でないため、使用を推奨しておりません。
◆単純ならざる骨折について◆
ご注意いただきたいのが、「単純ならざる骨折」に関してです。
規定には、『頭蓋骨骨折又は不全骨折、脊椎骨骨折又は不全骨折、胸骨骨折その他の単純ならざる骨折又は不全骨折については原則として算定できないが、特に医師から後療を依頼された場合に限り算定できるものであること。その場合は、支給申請書の「摘要」欄に後療を依頼した医師又は医療機関名を付記すること。』とあります。
レセコンで金額が出てこない負傷名は大半が単純ならざる骨折です。
単純ならざる骨折は、厳密には同意とは異なり、医師から「後療依頼」を受けることで後療からのみ施術を行うことが可能です。患者が負傷した後初回の来院であっても、単純ならざる骨折(不全骨折)であると判断できた場合は、処置をせず病院に促さなくてなりません。
レセプトの「摘要」にも、「(後療依頼を受けた)年月日・医療機関名・医師名」を記載の上、「○○医師より『後療依頼あり』」と記載するようにしましょう。
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