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お知らせ

2017/12/29

【当会の所感】第17回鍼灸マッサージ 検討専門委員会

 

去る、平成29年12月27日に『第17回 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会』(以下、当該委員会)が開催されました。

当該委員会では主に以下の点について、重点的に討議されました。

① あはき療養費の不正対策について
②「出張専門」の施術者には往療料を認めない事の主旨説明

上記について、当会としての所感を表明したいと思います。

あはき療養費の不正対策

①については、当該委員会資料(厚生局ホームページにてダウンロード可能)、吉田参考人提出資料を中心に話し合われ、患者本人による請求内容の確認、医師の同意、再同意期間の見直し、長期頻回の施術、償還払いに戻せる仕組み、支給申請書の統一、往療料の見直し、審査会の設置、審査基準の明確化等について、意見がでました。

これらを前提に当会の所感としては、何年も前から想定し対策を行っている事案が総合的に話し合われているに過ぎないことから、当会の会員様におきましては実務上、大きな変化が起こり得るものは少ないと考えています。

特に長く時間を割き討論された点の一つである同意に関しても、当会所属の方は以前から『審査結果』により指導し、セミナーでも繰り返し3ヶ月毎に書面での同意を得る様、徹底していただいている点ですのであまり違和感が無いと思います(当会の指導よりも緩和される可能性の方が高いです。)

「出張専門」の施術者には往療料を認めない事

②については、①の中において『大きな変化が起こり得るものは少ない』と記しましたが、『大きな変化が起こり得るもの』としては『往療料の見直し』が挙げられ、取り分け「出張専門」の施術者には往療料を認めない事が議論されました。

主旨説明に関しては同様に吉田参考人提出資料を参照頂きますが、要約すると、往療料は交通費の支弁としての代替ではなく、施術所で施術を行なえない事象に関わる便益的な手間賃である。つまりは、そもそも往療して施術をする手間を前提とした出張専門の施術者に対しては、出張先の患家が施術所であると見做されてしかるべきという事です。

よって患家が施術所という位置付けであれば『患家=本来の施術所』という図式が成り立ち、出張に対する手間が発生しないという事になるので、出張専門の施術者に係る往療料加算を認める必要性が無いという事になります。

この点におきましては傍聴していた当会スタッフも驚きを禁じ得ませんでしたが、議論の中で特に大きな反対も無く、また当該委員会の資料として幾項を割き掲載されている事、出張専門の届出が不正請求の温床になっていると問題点として挙げられている事に鑑みても往療料の削減が実施される可能性は高いです。

この点におきましては、出張専門届出をしている住所を、待合室・施術室の面積を確保し、換気・採光・消毒設備を整えた上で施術所として登録しなおす事で、対策が出来ると考えてはいます。

しかしながら、この議論から派生し全体的な往療料の削減がなされる可能性もある事から(その場合、施術料金は増額されることになると思いますが)いずれにせよ、施術所の有無に関わらず、現場や実務において大きな影響が出る事は明確です。

なお当該委員会の最後で疑問は有りましたが、流れとしては①②において、受領委任契約を行う場合を想定しての議論が一貫してなされてきたことから、平成30年内にあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費における受領委任契約制度の概要決定・実施が行なわれると、判断して差し支えないと考えております。

危惧される事態

以上が当該委員会に対する当会の所感となりますが、このほかに一点、お伝えしたいことが有ります。

当該委員会の議論に関してですが往療において、患者の利便性や、施術者側の安全性を担保しているとは思えない、現場の実態と乖離している主張・意見が発言された場面が一部ではありますが見受けられました。また、その発言を保険者側に取られ、施術者側に不利な状況になる場面も有った事から、今後の委員会にその発言者の参加が有った場合に、施術者側の不利益になったとしても、決して有利になり得る事にはならないのではと危惧しております。

議論の詳細や想定出来得る展望などは平成30年2月12日(祝日・月曜日)に開催される当会のセミナーでも解説させて頂きます。

平成29年12月29日
安全保障鍼灸マッサージ師会 会長 松藤大志