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お知らせ

2018/04/28

第14回 柔道整復療養費検討専門委員会についての当会の所感

第14回 柔道整復療養費検討専門委員会についての当会の所感

 

去る、平成30年4月23日に『第14回 柔道整復療養費検討専門委員会』(以下、当該委員会)とその後に『第11回柔道整復師団体情報交換会』(以下、当該交換会)が開かれました。

当該委員会では主に以下の2点について、重点的に討議されました。

① 『亜急性』の文言の見直し

② 柔道整復療養費の改定について(案)

上記について、当会としての所感を記載したいと思います。

 

『亜急性』の文言の見直し

 

①については、具体的な留意事項通知の改正案が提示されました。

※詳細は、こちらのリンクからご確認ください。

『なお、この改正は療養費の支給対象を明確化するものであり、改正前後で療養費の支給対象を見直すものではない。』と前提が有った上で、療養費の支給対象となるものが明示されていますが、ここでの最も大きな着目点は、その『支給対象の明確化』はもとより亜急性という文言の削除に有ると考えます。

当会ではかねてより施術者側と保険者側の両委員が行なう『亜急性』という単なる文言に対する議論は一切の無駄であり、本質は『支給対象の明確化』にある事を訴え続けてまいりました。施術者側においても保険者側においても双方、違った意味でこだわり続けた文言が消えた、今回の改正案においては厚生労働省の担当官の方が深い思慮をしていただいたであろうことが伺い知る事が出来る通知文であった事を感謝する次第です。

ただ一方で今後に向けての懸念材料が増えたのも事実です。

それは改正案において療養費の支給対象となる負傷が『外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲及び捻挫』とされたことです。一見、何も問題がなさそうに見える表現ですが、施術者は骨折、脱臼、打撲及び捻挫において明らかな外傷性を認めるからこそ、その態様だと判断します。負傷の原因において明らかであるか否かの問題が生じるのであれば兎も角として、施術者の判断において『外傷性が明らかでない骨折、脱臼、打撲及び捻挫』も存在するかのような、また様々な解釈が可能な文言を新たに付した事には疑問を持たざるをえません。

 

柔道整復療養費の改定について(案)

 

②について、改定率は例に倣い診療報酬改定における医科の改定率(0.63%)の半分である0.32%に決まりました。施行時期は平成30年6月1日となります。

※改定内容(案)はこちらのリンクからご確認ください。

当該委員会にて保険者側の委員から言及が有った通り、今までの議論が基になったわけではない数字ではありますが、再検料の引き上げや、柔道整復運動後療料といった新たな算定項目の新設、金属副子加算の包括化及び複数算定可能など、柔道整復業界において目先の金額としては、この上ない改定になったという印象です。

これも偏に当会が所属している全国柔道整復師連合会の田中会長をはじめとする、業界側の委員の方々の尽力の賜物であると理解しております。

しかしながら、懸念もあります。当該委員会で、柔道整復運動後療は日々の施術の中で通常行っている行為であり、今まで算定出来得るものを算定していなかっただけである、との趣旨の発言が、施術者側の委員から有りました。よって現状も『運動機能の回復を目的とした各種運動により、1回20分程度、柔道整復の一環としての運動による後療を実施』しているのであれば施術録の施術内容に記載されているという事が前提になると同時に、今後、実際に『柔道整復運動後療料』を算定する際には、(当たり前ですが)施術録に記載されている事が条件になると容易に予想されます。1回20分程度の運動後療を行い、施術録に記載し、310円の算定が可能になりますが、運動時間が足りない等、要件を満たさずに、また施術録への記載漏れが有った場合は、その310円が不正請求になりうるというリスクを背負うことになる想定ができるという事を、ここに記載させて頂きます。

 

今後に関して

 

今回の改定内容の詳細や今後における展望などは

平成30年6月10日(日曜日)に開催される当会主催の療養費改定セミナーで解説いたします。

療養費改定セミナー

 

また施術録に関連する事項である事から平成30年5月13日(日曜日)開催の柔道整復・施術録セミナーでも触れさせていただきます。

柔道整復施術録セミナー

 

安全保障柔道整復師会 統括部長

高橋 一旗